コラム
COLUMN
派遣許可要件の落とし穴(資産要件編)~絶対にあきらめないで~
ご存じの通り、「労働者派遣事業」を行うためには、厚生労働大臣の許可を受けることが必要です。
簡単に許可が出るものと思いきや、申請から許可が下りるまでには、約3ヶ月程度を要します。また、要件も厳しく、数多ある許可ものの中では難易度が高いです。
主なポイントは「資産要件」と「事業所要件」に分けられます。
資産要件は
- 直近決算書で、基準資産が2,000万円×事業所数以上である
- 直近決算書で、現金預金が1,500万円×事業所数以上であり、負債総額の7分の1以上ある
事業所要件は
- 事業で使用する面積が20㎡以上あること
- 使用目的が事務所であること(賃貸借契約書の目的とあっている)
- 事業所の独立性が保たれていること(別法人が同居していないか)
- 個人的秘密を保持し得る構造であること(鍵付きキャビネット等の設置)
- 風俗営業が密集する等事業の運営に好ましくない場所にないこと
実際にお客様が体験した話です。当事務所が途中から引継いで何とか許可を得ましたが、なんと、繰延資産の存在を忘れていたのです。
基準資産は総資産から負債を控除した額ですが、ここからさらに繰延資産や営業権の額を控除しなければなりません。労働局はあっさりと「無理ですね」と告げたようです。
繰延資産や営業権の額を控除すると2000万円の許可要件を満たさないなんてことにならないように注意が必要です。
また、この繰延資産は「会計上の繰延資産」と「税務上の繰延資産」に分けられるのですが、税務上の繰延資産は控除する必要はありません。
なので、決算書を作成する税理士さんにこの辺をきっちり説明しておく必要があります。
万が一、資産要件をクリアしなくてもあきらめないでください。
資金繰りや増資の可能性がある場合は、決算月以外の月次や中間決算での要件のクリアを「公認会計⼠の監査証明」でもって実現します。
このあたりの引き出しは慣れている社労士か慣れていない社労士かによって分かれてきます。
当法人では税理士さんと連携をとって予め決算書の打ち合わせの段階で介入させていただきます。人材派遣許可も許可更新もご安心してお任せください。