コラム
COLUMN
意外と知らない?派遣事業報告書の提出義務と記載ポイント①

人材派遣業を行っている皆さま、
「事業報告書、きちんと提出できていますか?」
派遣事業の運営においては、年度ごとに厚生労働省(都道府県労働局)への事業報告が義務付けられています。
この提出を怠ると、業務停止命令や許可取消のリスクもある重大な義務です。
今回は、派遣・紹介事業の報告義務の基本から、よくある記載のポイントまで、分かりやすく解説していきます。
1.そもそも「事業報告書」って何?誰がいつまでに提出するの?
派遣事業者には、厚生労働省令に基づき、毎年度終了後に事業運営の実績を報告する義務があります。
派遣事業 → 労働者派遣事業報告書(様式第11号)
これらは厚生労働省や都道府県労働局によって点検され、適正な事業運営がされているかの確認材料になります。
○提出期限
毎年6月30日まで
⇒ちなみに労働者派遣事業収支決算書(様式第12号)及び関係派遣先派遣割合報告書
(様式第12号-2)は事業年度終了後3か月以内に提出する必要がありますので、ご注意ください。
○提出先
管轄の都道府県労働局(需給調整事業担当)
⇒複数事業所を運営している場合であっても、管轄労働局にすべての事業所分を提出します。
2.記載のポイントと注意点
以下は、実際に当事務所でご相談いただいた中で、誤解されていた内容や相談が多いポイントです。
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派遣労働者の報告なのに請負の社員を含めていた
⇒これは派遣と請負の差を理解できていないと推測され結構痛いミスです。
労働局にとって、偽装派遣、偽装請負の可能性が否定できなくなるからです。
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雇用安定措置の記載に整合性がない
⇒雇用安定措置の対象人数は、派遣労働者数の雇用実績欄で記載した内容と連動します。あまりに整合性のない数字が記載されている場合は労働局から指摘が入ります。
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派遣料金及び派遣労働者の賃金欄に記載した内容が8時間単位になっていない。
⇒これもよく見受けられます。ここはマージン率の算定に関わってきますので、ミスが発生するとWEB上で公開する予定のマージン率に齟齬が発生することにご注意ください。
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労使協定の添付を忘れていた。
⇒現状多くの派遣事業者で選択されている労使協定方式。これを採用する場合は必ず、事業報告書に直近の労使協定を提出する必要があります。
意外にお見掛けするのが36協定を添付しているケース。
あくまでも派遣法30条の4の規定に基づく労使協定を添付してくださいね。