未払い残業対策・
労働基準監督署対応

UNPAID OVERTIME / LABOR AUDIT

事前の対策で遡及払いのリスクを最小限に

労働基準監督署の調査によると、多くの中小企業で時間外労働に対する割増賃金不払い、いわゆるサービス残業が是正勧告の対象となっています。厚生労働省は 「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」に基づきサービス残業解消に向けた対策を強化しており、全国の労働基準監督署がかつてない規模での未払い残業の取締りに着手しています。

インターネットをはじめ、書店などでもサービス残業代を取り返すノウハウ本や会社を訴えるノウハウ本まで出版され、経営者にとって対策は必須となっています。放置していると経営に大きなダメージを与えるこの問題も、事前の対策によりそのリスクを最低限に抑える方法があります。

CONTENTS

割増賃金の不払い

不払残業代請求の話題がメディアでも大きく取り上げられており、労働基準監督署や労働組合への退職者、社員の駆け込み相談が急増しており、労働基準監督署の相談事例の第2位が割増賃金の不払いといわれています。

訴えを起こされた場合、その時点から最大2年分遡及払い、そして送検された場合は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

最大2年分の遡及払いシミュレーション

仮に次のような会社が残業代を全く支払っていなかった場合の遡及払い例

〈 条件 〉

社員数:20人
平均月給:30万円
所定労働時間:170時間
平均残業時間:30時間

〈 支払額 〉

(30万円÷170時間)✕1.25✕30時間✕24カ月=

1人あたり…約160万円

20人分で…約3,200万円

割増賃金支払い状況チェックリスト

以下のいずれかに該当する場合には、労働基準監督署から是正勧告を受ける可能性が高いと言えます。

  • 36協定を毎年労働基準監督署へ提出していない
  • 残業時間は30分単位で計算している
  • 固定残業代を導入したがその根拠が明確になっていない
  • 残業時間は、上限を決めて割増賃金を払っている
  • 年棒制をとっているため残業代を支払っていない
  • 基本給のみを対象に割増賃金を計算している
  • 係長以上の役職者には、割増賃金を払っていない
  • 残業時間が1カ月80時間を超えることもある
  • 営業担当者には営業手当を支給し割増賃金は払っていない

未払い残業代対策 サポートの流れ

上記のような未払い残業代も、適正な労働時間の把握や管理、また自社の実態に合った労働時間制度を導入することで削減することが可能です。

また、改めて割増賃金の算出方法、労働に関する協定や規則の整備・届出を行うことで、法的な裏付けを確保させます。残業代請求対策は、現在の会社の運用をしっかりと理解したうえで労務管理対策を行うため、ご依頼から完了まで少なくとも6か月のお時間をいただいております。

※企業規模や労働組合の有無によりさらに多くの時間が必要な場合がございます

  1. 就業規則・賃金規程と運用状況確認

    現在の就業規則・賃金規定・労働時間の算定方法や給与計算の方法など、詳しくヒアリングさせていただきます。

    運用状況についても詳細の確認が必要になるため、労務管理・給与計算の担当者様の同席をお願いいたします。
    また、最善の対策方法をご提案するために、就業規則・賃金規定・直近1年分の賃金台帳・出勤簿などをお預かりします。

  2. 残業代対策の提案
    お預かりした書類と打ち合わせをもとに、当事務所が最善と考える対策をご提案いたします。実際にどのように対策を行うのか、どのくらいの効果が見込めるのか、具体的にいくらぐらい削減できるのかなど、詳しいシミュレーションもお伝えします。
  3. 従業員との話し合い

    対策内容によって従業員の方との話し合いが必要な場合は、説明資料のご準備をサポートいたします。しっかりと従業員の方と話し合ったうえ、双方が納得できる内容にし、最終的に合意できるようしっかりとサポートします。

    合意が済めば、就業規則や賃金規定の変更、従業員ごとの労働条件変更の合意書の作成を行い運用方法を担当者の方へ説明します。

労働基準監督署からの通知が来たら急いで対策を

労働基準監督署の調査は、非常に厳しい調査で、労働基準監督署の調査が入った企業の実に6割以上が何らかの違反に対し是正勧告を出されているのが実態です。「うちの会社は大丈夫」と甘く考えていると、考えていた以上に細かい部分まで見られて行政指導を受けてしまうことが少なくありません。ただきちんと対応し、改善すればそんなに恐れることもありません。

また、いずれ何らかの是正勧告を受ける可能性を残したままにするよりも、問題を解決し、より良い企業、労働環境になる機会でもあります。労働基準監督署からの調査がどういったものなのか、通知がきてからどの様に対策を進めていくのかをご案内します。

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労働基準監督署の調査

労働基準監督署の調査は通常、労働基準監督官2~3名によって実施されます。

監督官は労働基準法に則り、対象企業の業務関係場所(工場、事務所、寮、倉庫など)に立ち入り、帳簿や書類の提出を求めます。また、経営者や労働者に対して尋問することができ、それに応じない場合は強制捜査や経営者を逮捕することができます。

調査は以下のような流れで進んでいきます。

調査の流れ

  1. 事前連絡

    まず労働基準監督署より電話、書面にて調査の実施日や必要書類についての連絡がきます。
    ただし、実施日に調査の対応ができない場合は日程の調整を依頼することができます。

  2. 立ち入り調査(臨検監督)

    • 対象企業の事業主名、事業内容、社員数など企業規模の確認
    • 就業規則、法定三帳簿(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿)の確認
      ※ケースに応じて賃金規定、労使協定(36協定、賃金控除に関する協定)、健康診断結果及び報告書、退職金規定などのチェック
    • 調査項目に沿って法律違反の有無、帳簿と実態との整合性を実際に労働者に質問をしながら確認
      ※特に申告監督の場合(労働者からの法令違反の申告があった場合)は特に厳しい調査になります
  3. [違反があった場合] 是正勧告書と是正報告書

    法律違反が認められる場合は「是正勧告書」、法律違反は認められないが改善の必要がある場合は「指導票」、労働安全衛生法やその他の違反があり危険な場合は「施設設備の使用停止命令書」が交付されます。いずれの場合も指定の期日までに指摘された事項を改善し、「是正(改善)報告書」を労働基準監督署に提出しなければなりません。

    「是正報告書」の提出後は、実際にその通り改善が行われているかどうか確認が必要な場合や指定期日までに報告書の提出がなされない場合は再監督が実施され、是正勧告に従われない場合は書類送検される可能性が高くなります。

特に調査される項目

会社の調査が行われる際には、以下のような点が頻繁に確認されます。

  • 労働者の労働時間を正しく把握しているか(タイムカードや勤怠記録のチェック)
  • 休日・時間外労働協定届(36協定)を結び、届け出ているか
  • 労働者の過半数を代表する者の選出は正しい方法で行われているか
  • 管理・監督者の範囲は正しいか
  • 時間外手当の計算方法が正しく行われているか(賃金台帳等のチェック)
  • 過労等のメンタルヘルス関連に問題はないか
  • 派遣労働者の管理はきちんとされているか
  • 未払い残業代や時間外労働の発生しない管理監督者の管理が行われているか

労働基準監督署対応 サポートの流れ

まず労働基準監督署の通知があってから、4つのステップにわけて分析・対応していきます。

  1. 予測と事前準備

    労働基準監督署からの通知や労働者の状況から定期監督か内部告発による申告監督かを推測します。
    そのうえで現状の法令違反の有無を洗い出し、必要な資料を整備します。

  2. 面談リハーサル

    労働基準監督官の質問内容を予測し、その回答を検討します。監督官との話から何を問題としているのか、落としどころはどこなのかを探ります。

    もちろん経営者と労働基準監督官との解釈が異なっている部分は正確にこちらの意見を述べ、法令違反は素直に是正することを確認します。また、ここでの反抗的な態度は厳禁です。

    なお労働基準監督官の指導はあくまでも「行政指導」であるため、解雇の正当性や合理性の解釈等には原則として関わることができません。この点を争う場所は裁判所のみです。

  3. 是正勧告書と是正報告書への対応

    ここからは監督官との交渉です。実は、是正指導はあまり具体的な指導内容が書かれていないことも多いです。
    法令順守は絶対ですが、完全には厳守できないこともあります。労働基準監督官と話をしながら、絶対に守るべき点、できれば守ってほしい点を明らかにして、是正報告書を作成します。

  4. 是正報告書提出後の対応

    報告書に記載した事項を順守し、法令に反しない制度を構築して、数年後の再臨検に備えます。
    経営者の負うダメージを最小にし、労務リスクに強い会社を目指します。

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